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キツネに絶対触るなよ!人間を死に追いやる寄生虫『エキノコックス』

タキツネとエキノコックス 記事

エキノコックスとその症状

エキノコックスは北海道にいる多くのキタキツネが保有する寄生虫の一つで、キツネに触れることで人間にも感染します
エキノコックスに感染すると、人間の体内で成長し、増殖し様々な症状が現れ、死に至ります。

エキノコックスは無症状の潜伏期間が長く、小児の場合は5年以上、成人の場合10〜20年は無症状の状態が続きます。

そのため、早期発見が何より重要で、症状が出現した時点では、もはや手術での完全な対処はほぼ不可能です。
薬物療法による治療となります。
エキノコックスは一般的な肝臓の検査では発見できず、専用の検査が必要です

エキノコックスに感染すると、患者のほぼ全てに、肝臓に病巣が形成されます。
エキノコックスは肝臓で、発育・増殖し深刻な肝機能障害を引き起こします。
初期症状では、肝機能障害による疲れやすさ、上腹部の不快感、黄疸。
症状が進行するにつれ、肝臓腫大し、腹痛、皮膚の激しい痒み、腹水の症状が現れます。

体内で増殖したエキノコックスは、他の部位にも寄生します。
肝臓の次に感染しやすいのが肺で、咳、血痰、胸痛、発熱など結核に似た症状を引き起こします。
その他にも、脳、骨、心臓などにも寄生し、やがて命を落とします。

エキノコックスの広がり

エキノコックスに感染したキタキツネが市街地に現れる
市街地に現れるキタキツネ

エキノコックスは北海道に元々存在していたわけではありません。
1924年から1926年にかけ、北海道の礼文島で大量発生した野ネズミに対処するため、知識もなく、国外からキツネを輸入し野に放ったことが原因となっています。
そのため、1963年までに礼文島という狭い地域の中で、約200名の人が命を落としました。
エキノコックスの存在に気づいた時にはすでに手遅れでした。
自然に広がるエキノコックスを止めることができませんでした。
現在では北海道全域にエキノコックスが広がっています。
本州では発症例はほとんどなかったものの、近年では本州でもエキノコックスが確認される様になりました。

エキノコックスの感染経路

感染経路は主に経口です。
どんな状態であれ、エキノコックスが口に入ることを避けなければなりません。

旭山動物園で発症した、ローランドゴリラとワオキツネザルのエキノコックス感染の原因は、風で飛ばされたキツネの毛が食べ物に混入したのが原因とも言われています。

北海道でのエキノコックスの感染経路は、野ネズミ、キタキツネ、が主なサイクルです。
感染経路となる動物は多種多様で、牛、羊、鹿、豚、犬、狼、コヨーテ等多くの動物が感染経路となりえます。

野ネズミは狐が捕食し直接の感染となりますが、狐から野ネズミへの感染は狐の糞を介して感染します。
直接糞を食べるのでは無く、糞の中のエキノコックスが、風に舞ったり、エキノコックスが含まれる糞や、エキノコックスの卵を含む野山の土を踏んだまま移動することで、色々なものに付着します。
それらが何らかの理由で、動物の口に入ることで感染がはじまります。

近年では北海道の屋内で飼っている飼い犬にも感染が広がっています。
屋内飼いの猫でも感染が確認された例があります。
何らかの理由で、エキノコックスが体内に入れば感染してしまいます。
北海道での犬、猫の放し飼いや、ドッグランなどの利用も注意が必要です。

近年北海道で、異常な勢いで増殖しているアライグマもネズミを捕食するため、感染経路になるかどうか調査が進められています。

最近では、北海道以外にも感染が広がりつつあります。
キツネの多くない地域でも、野犬、牛などにエキノコックスが確認されています。

エキノコックスの対処法

可愛いキタキツネの子狐
とても可愛い子供のキタキツネ

キツネと接触しない

キツネとの直接の接触を避ける事が重要です。
場所や時期にもよりますが、キタキツネのエキノコックス感染率が80%を超える状況も過去に調査結果としてあったようです。
北海道全域で見ると、キタキツネのエキノコックス感染率は50%前後なので、まず、キツネとの接触をしない事がエキノコックス対策として重要です。
可愛いので触りたくなるのですが、そこはグッと我慢です。

大切な手洗い

屋外、特に自然が多い環境から帰った場合は手洗いが大切です。

自然の中の水を飲まない

地中から湧き出ている湧水は別として、自然の中で存在した水(川や池の水)との接触を行わない事が推奨されます。
キツネの糞に排出されたエキノコックスが何らかの形で混入する可能性があります。
野生生物は靴を履きませんし、糞を踏んだ足で川にそのまま入るのです。

野山に入った後、靴の底を洗う

キツネの糞はいつ踏んだかわかりません。
靴の裏の土を家に持ち帰り、エキノコックスの卵を家庭内で広げてしまう可能性があります。
家で飼っている動物の感染経路の主なものの一つとなります。

山菜を食べない

北海道の野山に入ると、当たり前の様にキタキツネがうろついています。
かなり頻繁に出逢います。
その様な区域の山菜を食べることはエキノコックス感染リスクが高いです。
食べるのであればリスクを承知の上、充分に水洗いした上、必ず加熱する必要があります。

エキノコックスは100度で1分以上の加熱で死滅します。
その作業の際には周囲に付着しない様な注意が必要です。
水洗いの際も十分に注意をしなければ、エキノコックスの卵を周囲に広げてしまいます。

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